🐟 ブンオパンの意外な真実
魚のような形、冬の夜に香る温かいパンケーキのような香り。
けれど「ブンオパン(붕어빵)」──韓国で冬に愛されるおやつの定番──には魚は一切使われていません。
名前の「붕어빵」は直訳すると「フナパン」(붕어 = フナ、빵 = パン)ですが、この温かくて懐かしいおやつは、パンケーキのような生地で作られ、中には甘い小豆餡(팥)が詰められています。
近年では、カスタードやチョコレート、ピザ風チーズ、さらにはアイスクリームが入ったバリエーションも登場しています。
ブンオパンの起源は、日本の「たい焼き」にさかのぼりますが、1930年代に韓国に紹介されて以降、独自の進化を遂げて韓国ならではの存在となりました。
以来、特に寒い季節になると、街角の象徴的な屋台グルメとして親しまれています。
韓国では、ブンオパンは単なる食べ物ではなく、「感情」や「懐かしさ」でもあります。
寒い冬の歩道では、屋台(포장마차/ポジャンマチャ)からこのお菓子が売られているのをよく見かけます。
屋台の人が熱々の魚型の型に生地を流し込み、餡を入れ、型を閉じて、外がカリッと黄金色になるまで焼き上げます。
これはただのスナックではなく、「冬の訪れのしるし」。
カップルがデートで分け合ったり、学生が放課後に買ったり、子供たちが学校帰りに楽しんだりします。
中には「頭から食べる派」か「しっぽから食べる派」かで、ちょっとした論争になることも。
ブンオパンは、手だけでなく、心と記憶までも温めてくれるおやつ。
この小さな黄金の魚に詰まっているのは、そんな魔法のような魅力なのです。